ジャンルごちゃ混ぜSSブログ*
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イナイレでは一秋中心にいろいろ
感想とか好き勝手
今はとにかく一之瀬が好き
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**注意**
立向居→春奈描写があります。
苦手な方はご注意ください。
一之瀬君と立向居クンの話
立向居→春奈描写があります。
苦手な方はご注意ください。
一之瀬君と立向居クンの話
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同じだからわかる
同じじゃないから、よく見えるんだ
な、そうだろ、お前もさ。
ボーイ イン ザミラー
アメリカに戻っていた一之瀬が、一時帰国し
雷門中で練習しているイナズマジャパンの練習を、ひょっこり覗きに来た。
彼は、イナズマジャパンのマネージャーになった木野秋を見つけると
あの日と同じに周りを一切気にせずに彼女を抱きしめた。
「アキ~!ただいま!!」
「もう!びっくりするじゃない!なんでいつも連絡くれないの?」
「あはは、アキの驚く顔が可愛くて、つい」
そういいながら、軽いキスを秋の頬に落とす一之瀬の姿は
雷門中ではおなじみの姿だった。
それを見ておどろいたのは、立向居や綱海たちだった。
彼らはあはは、と困ったように笑う一之瀬の姿しか知らない。
その空気にのまれ、茫然と立ち尽くしたまま他校生たちは目をぱちぱちとしばたかせている。
その中の一人だった立向居は、はっと我に返り、そばで何食わぬ顔でドリンクを机に並べる
音無春奈に近づいて声をかけた。
「お、音無…一之瀬さんってあんな人だっけ?」
「え?」
すこし意外そうに、春奈は立向居に顔を向けて
すぐにああ、と納得した声を上げる。
「うん、一之瀬先輩はいつも木野先輩にはああなの」
いつの間にか、一之瀬の周りに集まった円堂や豪炎寺、鬼道たちの輪を見ながら
春奈はくすりと笑った。
「へ、へえ…。なんか凄い、大胆なんだ」
「でも、木野先輩にだけだよ。…先輩はあんまりわかってないけどね」
「え?」
一瞬、何を、と聞こうとして
立向居は一之瀬の秋を見つめる目の色をみて息を飲んだ。
…そうか、そうなんだ。
瞬時に納得して、今度はある事に思い至り
慌てたように春奈を振り返った。
「で、でも!木野さんは…!」
「…そうなの。でも、一之瀬先輩はそれを知っててそのうえで、みたい」
「う、…そんな」
手の中にあるボールをつかむ手に、思わず力が入る。
立向居は、そのボールを見つめていたたまれないような気持ちに唇をかむ。
なんでなんで、と頭の中では意味のない疑問符がぐるぐると回り始めた。
一之瀬が秋を見つめるその目は、ひどく優しかった。
普段から温和な彼ではあったが、今のその目にたたえる色は
立向居も見たことのない色だ。
(でも、…木野さんは…)
立向居は、秋を見やる。
彼女は忙しそうに汚れたタオルや、放り投げられた練習着を
脇に抱える彼女の体には不釣り合いな大きさのかごに集めている。
彼女を見かけるたびに、よくはたらくなあと感心するのだ。
そしてちらりと横目で見れば、また春奈もくるくるとこまねずみのように
動き回っていた。
秋の気持は、こういったことに鈍い綱海ですら気づくほどのものだ。
それでも、周囲は知らぬふりをしてやっているようだった。
当の円堂は相変らず、サッカー、サッカーとその全てをボールに注ぎ込んでいる。
だがわずかな変化があった。
新しいマネージャー、冬花の存在だ。
彼女が来てから、円堂は少し変わったと立向居さえ感じていた。
(それって、木野さんは…感じているのかな)
手にするボールの感触がキーパーグローブを通して伝わってくる。
それは何故かとてももどかしい感覚だった。
やっぱり、というか。案の定というべきか。
サッカーの練習には加わらないと言っていた一之瀬だったが
一時間もしないうちに、彼はピッチの上にいて泥だらけになっていた。
秋は苦笑しながら、彼のぶんのドリンクと着替えのTシャツを手にして立っている。
休憩になり、いったん引き揚げてくると
マネージャー達は忙しく動き出した。
タオルとドリンクをもって小走りで動き回り、怪我をした選手にはすぐに手当てを施す。
改めて注意して見ているとその働きは、本当に感心するものだった。
「ほい、立向居。タオルと、ドリンク」
「うえっ!?」
ぼうっと秋を目で追っていた立向居は、聞こえてきた少し低いトーンの声に驚いて
振り返った。
にっこりとドリンクボトルとタオルを差し出しているのは
一之瀬だった。
「何、変な声出してるの」
見れば一之瀬は、先ほど秋が手にしていたシャツを着ている。
ドリンクもイナズマジャパンのものではなく、先ほど秋がいつの間にか用意したものだった。
「い、一之瀬さん。びっくりさせないで下さいよ!」
差し出されたそれらを受け取ると、立向居は思わず上ずった声をあげた。
「そう?ごめん、ごめん」
「な、なんで一之瀬さんが…」
「ああ、だってアキが凄く忙しそうでさ。音無さんも手一杯で。そしたら立向居が、悲しそうな顔で突っ立ってたから」
そういうと、一之瀬はドリンクボトルをあおった。
白いタオルで顔の汗をぬぐい、また立向居に笑いかけた。
「立向居さ、オレに何か聞きたいことがあるんじゃないの?」
「えっ!?」
当たり前のようにつぶやかれた言葉に、立向居は必要以上に慌てた。
ドキーンと胸を打った鼓動が、痛いほどに彼を翻弄する。
「隠すなって、オレにはわかるよ」
さっきからオレとアキを見て百面相してるんだもん。そういうと一之瀬はおかしそうに笑う。
立向居は、一瞬ぽかんとした後にすぐにむっとして一之瀬を恨めしそうに見た。
「なんか、意地悪ですね。一之瀬さんがそんな人だなんて俺、知りませんでしたよ」
「あはは。そうかな?」
おかしそうに笑いながら、一之瀬の目はいつの間にか秋を追っていた。
立向居はそれに気づいて口をつぐんだ。
「…オレとアキの事聞きたいんだろ?」
いきなりの図星に、キーパーの体はびくんと大げさに震える。
「…っ!そ、そんなことは!」
「当たりじゃん」
おかしそうに笑って一之瀬は言う。
「立向居は素直だなあ」
「い、一之瀬さん。からかってるんだったら…」
「お前、音無さんの事好きなんだろ?」
「…っ!えっ!な、なに、言って!」
今度は自分でもわかるほどに、顔が赤くなる。
思わず顔を覆った後輩に、一之瀬は目を丸くした。
「ごめん。なんか…からかってるつもりはないんだけどさ」
「…う」
一之瀬は赤くなってうつむいた立向居から視線を外して話し始めた。
「アキと、オレって幼馴染なんだよね。
まあ、お前が思ってるように、オレはアキが…好きで。
でも、彼女は…まあ、そういうこと」
「…一之瀬さん」
「まあ、だからってオレは簡単に諦めるタチじゃないんだけどさ」
「…」
「でも、…俺ってMFだから、周りがよく見えちゃうというか?」
「へ?」
少しおどけた声に、立向居は顔を上げる。
「メッシも、周りがよく見えてこそMFだって言ってるし!オレは適任だってことだよね」
「えっ?メッシ?…そんな事いってました?」
「オレが今作った」
きょとんとした立向居の顔に、一之瀬はまた声をあげて笑った。
「一之瀬さんっ!」
「あははは、ごめん。…まあ、つまりさ~」
ごくりとドリンクを飲み干すと、一之瀬は立向居に向き直った。
「いろいろ考えすぎないで、ぶつからないと何も始まんないよ、ってこと!」
「うえ?」
遠くから、秋が一之瀬を呼んだ
その声に手を振りながら、彼は立向居に笑いかける。
「キーパーも、シュートしたっていいんだからさ、」
「あう、お、俺は…」
「お前とオレってちょっと似てるかもね。」
一之瀬は言いたいことは終わったとばかりに、踵をかえすと
アキ―、と叫びながら走って行った。
(似てる…?俺と一之瀬さんが?)
立向居はその背中を見送りながら、一之瀬の言葉を思い出していた。
「どうしたの?立向居くん?」
「うわあ!」
突然現れた春奈に、立向居は声をあげる。
そんな彼に、春奈はむっと眉を寄せた。
「もう、何よ!もう皆グランドに集まってるって教えてあげようと思ったのに!」
「あ、ええっ!わあ!本当だ!」
立向居はその言葉に慌ててグランドに走り出した。
グランドの反対側にいた一之瀬は、そんな後輩の姿を認めて笑みを浮かべる。
「一之瀬くん?」
怪訝そうに、秋が一之瀬を見やる。
「…なんでもないよ。立向居も、もっと頑張るといいな、と思っただけ」
一之瀬の言葉に、秋は首をかしげたが
そんな彼女を彼は、愛おしげに見つめて笑った。
(立向居に偉そうに言っちゃったけど…オレもだよな)
笑いながら押し寄せてくる痛みに、一之瀬はその笑みを更に深くした。
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