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ジャンルごちゃ混ぜSSブログ* テニプリ(リョ桜)* イナズマイレブン(一秋中心、NLのみ) イナイレでは一秋中心にいろいろ 感想とか好き勝手 今はとにかく一之瀬が好き
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**注意**

アメリカ留学時代のアメリカ組のお話です
まだ小学生という前提です。

オリキャラとして秋ちゃんのお母さんが出てきます。


それでもいいよ~という方は「つづきをよむ」からどうぞv










*******


出会ったのは、春の花が咲き乱れる頃。
その時に約束したんだ

ずっと友達でいようよ、って!

















ジュブナイル



















はじめまして、と言葉をかわしたのは何年前かな。
いつの間にか、いつも一緒にいるのが当たり前になっていて。
誰かが熱をだしたり、用事で居ないなんてことになれば
とたんに残された二人はしょぼんとして。
遊んでいてもなんとなく面白くなかった。

学校も一緒だったから、本当に朝から晩まで一緒。

ときには一つのベッドに三人で眠ってしまうこともあった。


だって、…どうしても。
離れるのがさみしくて仕方なかったんだ。






「いくぞー!」
「来い!」



掛け声とともに駆け込んで、勢いよく足を振りぬく。
程よい感触に、オレはニヤリと口元をほころばせる。
ボールはカーブして壁に描いた的にあたり、土門は悔しそうにああー!と声をあげた。


「一之瀬は手加減なしだもんなあ」
「当たり前だろ、いつでも一生懸命やらないとアキに怒られちゃうからさ」

ふーん、と土門は跳ねかえってきたボールを手に取ると
隣の家に目を向ける。

「それにしても、秋おっそいな~」
「うーん。学校終わったらすぐに来るっていってたんだけど」

茫然と立ったまま、オレ達は秋の家を見つめた。
いつもと変わった様子もないが、家が静まり返っているように見える。
すこし不安になって、オレは土門と顔を見合わせると
秋の家に足を向けた。



庭の道を通って、少し高いところにあるチャイムをならす。
ビーっという音が響いて、オレ達はそこでおとなしく立っていた。
でも、いつもならこの音を合図に秋が飛び出してくるはずなのに
目の前のドアには全く変化がない。

オレと土門はお互い顔を見合わせて首をひねった。

「誰もでてこないね」
「おかしーな。帰りのスクールバスで一緒だったのに」

そう言うと土門はオレの頭の上から、チャイムにひょいと手を伸ばして
もう一度そのボタンを押した。



「…一之瀬くん、土門くん…」
「アキ!?」


ドアがほんのちょっぴりだけ開いたかと思うと
その隙間から、秋の目が見えた。
そのほんの少しの隙間から、オレ達も秋を覗き込む。


「何してんだよ、秋。待ってたんだぞお」
「…うん」
「そうだよ~。アキ、遊ばないの?」
「…ううん」
「じゃあ、一之瀬んちの庭でいつもみたいにサッカーしようぜ?」
「でも…」
「西垣ももうすぐ来るし、アキがいないと対戦できないじゃん」
「でも…駄目なんだもん」
「「なんで!」」


思わず二人で声を揃えて叫んでしまった後に
オレ達は、ドアの隙間からのぞく秋の目からぽろん、と涙がこぼれているのを見て
ぎょっとして動きを止めた。


「アキ!?」

オレは気付いたら、ドアを思い切り開けて
秋の家の中に入り込んでいた。
そして、目の前に立つ秋の姿にまたまたびっくりして
オレと土門はそこに立ったままになってしまった。

秋は、自分の体を隠すようにして頭からすっぽりとシーツをかぶっていた。
その隙間から、ピンクのふわふわしたスカートが見えている。

オレ達が急に入って驚いたみたいに、秋はくるりと後ろを向いて
家の奥に走ろうとした。

「ちょっと、秋!」

にゅ、と土門の長い手が秋の頭のシーツをつかんだのが見えた。

ふわっと目の前が白いものにおおわれて
オレはちょっとドキンとする。
それがゆっくりと床に落ちた後、オレ達の前にピンクのかわいいドレスを着た秋が立っているのが見えた。


「やだ!こんなんじゃあそべない!」

わあーんと急に大きな声で泣き出して
秋はお姫様見たいにドレスのふわふわにうずくまって泣き出してしまった。

それを見て、シーツを思わず取ってしまった土門はあわてて秋に駆け寄った。


「ご、ごめん!秋、泣くなよ!なんで泣いてんだよ、ごめんてば!」

土門のあわて方に、オレもすごく焦って秋にすがりつくみたいに駆け寄る。

「なんで泣くの、アキ?ドレスかわいいよ、凄く似合ってるのに」

そう言うと、秋はそっと顔をあげた。
ほっとしたのもつかの間、オレと土門は今度はあっ!と声をあげていた。



今まで秋の髪は肩よりも下に伸びていた。
長い髪にカチューシャやピンを止めたりしていた。

その長い髪が、今は秋の肩の上でばっさりと切れて揺れていた。
秋は驚いたオレ達の声を聞いて、更に大きな声で泣き始めてしまう。
その泣き方に驚いて、おろおろしていると
秋のお母さんが、オレ達の横に来て困った顔をして肩をすくめた。

「髪をカットして、って言うから切ってあげたら…やりすぎちゃったみたいで…」

そう言いながらため息をつく秋のお母さんも、すこしがっかりしているみたいだった。


泣いている秋を見ながら、でも、とオレと土門は顔を見合わせた。
土門の目を見てオレは確信した。
ああ、きっと同じこと思っている。
はー、と息を吐いて顔を見合わせ、せーのでオレ達は秋に声をかけた。


「「すっごく似合ってる!その髪型!」」
「…え?」


真っ赤になった目で、びっくりした秋がオレ達を見上げる。
その顔を、髪型を見て、やっぱり、とオレ達はもう一度アキに言った。


「「凄く、かわいい!」」
「…うそ」
「「ほんとう!」」
「だって、こんなに」
「「アキは、かわいい!本当に似合ってる」」


何度もかわいいと言ったからなのか、今度はだんだんと秋のほっぺたが
ピンク色に変わってくる。
それが本当にうずうずするような気持ちにさせる色で、オレはそれがもっと見たくて
秋の目を覗きこみながら、もう一度言った。


「ねえ、アキ。本当にかわいいよ」


そう言うと、秋の目がこれ以上ないくらいに大きくまん丸くなって
顔がゆでダコみたいに真っ赤になってしまった。

そんな秋の顔をみて、オレはもっとドキドキしたけど、なんだか満足した気持ちになった。






あのピンクのドレスは、来週の秋の誕生日会に着る予定のものなんだと秋が言っていた。
ああ、来週は秋の誕生日なんだ!と思った俺たちは
カレンダーを見て、今度はがっかりとうなだれてしまった。
カレンダーの花丸のしるしの日は、オレ達のアメリカのジュニアサッカー大会の決勝の日でもあったんだ。


Tシャツとハーフパンツに着替えた秋とオレと土門は
いつもみたいに庭の芝生に座り込んでいた。

「誕生日会に行けなくてごめんな、秋」

土門がすまなそうにいうと、秋はううん、と大きく首を振る。
すると肩までになった短いはねた髪がふわふわ揺れて
オレはそれがとってもかわいいと思って見つめてしまう。

「ううん、ちゃんとわかってたもん。だから、大丈夫」
「プレゼントはちゃんと持っていくよ」
「ありがとう、土門君」

秋がにこと笑ったので、思わずオレは立ちあがって叫んでしまった。


「その日の決勝戦、絶対に優勝するよ!アキのために!」


秋と土門が驚いてオレを見たけど、すぐに土門がにやりと笑って
オレの横にたって秋にもう一度言った。

「オレ達、秋のために優勝する!」

二人でこぶしを上げて宣言すると
短くなった髪の秋は、その日一番の笑顔をオレ達に見せてくれた。


「なあなあ、なんか悩みがあったらぜーんぶ言いあいっこしような!」
「なんでも?」
「そうそう、何でもだよ、アキ!」

「だってオレ達、親友だもんね!」


季節は春から、夏に変わるころ。
どんなに季節が変わっても、オレ達は離れないよ。
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