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ジャンルごちゃ混ぜSSブログ* テニプリ(リョ桜)* イナズマイレブン(一秋中心、NLのみ) イナイレでは一秋中心にいろいろ 感想とか好き勝手 今はとにかく一之瀬が好き
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**注意**

前回の「ウイスパープレイヤー」の続きになってます。
未来設定の上、パロディです。
一之瀬くんはアメリカから帰ってきて
秋ちゃんとともに雷門に通う、高校生です。

オリキャラとして秋ちゃんのご両親が登場します。

それでもいいよ~という方は「つづきはこちら」からどうぞ~





じっと見つめる
見てはいけないと、理性が警告するけど
それでも願わずにいられないんだ


















ウィスパーマイアイズ



















ふう、と息をつく。
夕食がが終わって、オレはリビングに通された。
目の前には湯気をゆったりとくゆらす一杯の温かい紅茶。

向かい側のソファーには、秋のお父さんがテレビを見ながら
あはは、とのんきな感じで笑っている。
キッチンからは、食後の片づけを手伝う何気ない秋と、彼女のお母さんの笑い声混じりの会話が聞こえてきていた。

そんな穏やかな家族の団欒のなかで、オレはいたたまれない感じに体を縮こまらせていた。
ふと目に入った目の前のカップが、ひどくさみしそうにみえて、ドキリとする。
出された紅茶が冷めてしまうのがなんとなく申し訳なくて、オレはカップを両手で持ち上げた。
それは少し冷め始めていて、程よく温かくてほっとする。
でも覗き込んだ琥珀色の液体に映る自分の顔は、凄く情けなく見えた。

そんな情けない自分を消したくて、オレは紅茶を勢いよく流し込んだ。





「なあ、一之瀬君。君、秋の事どう思ってるんだい?」


秋のお父さんのいきなりの質問に、流し込んだ紅茶がいきなりオレの呼吸を阻む。
げほげっほとひどくむせていると、お父さんがわははと、朗らかに笑う声が聞こえた。


「ごめん、ごめん。ただ、君がうちの秋をもらってくれたらなあと思ってね」
「…っ!?っえっ!あ、え、??げほっ!!」
「はははは!」


再びむせたオレに、からっとした笑い声が重なる。
動揺に涙目になっていると、キッチンから秋とお母さんがリビングに入ってきた。


「もう、おとうさん!変なことばっかり言わないで!一之瀬くん、びっくりしてるじゃない!」
「ア、アキ…」


涙目のままで見上げると、秋が両手を合わせてごめんと口を動かした。


「何を言ってるんだ、秋。お父さんはなあ」
「もういいの。さ、一之瀬くん、部屋に行こう?」
「ぐっ…げほ、う、うん」


秋の言葉に、お父さんが目を丸くしたがすぐににこっと笑ってオレを見た。


「そうか、そうか。まあ、ゆっくりしていきなさい」
「げほ!」


オレは顔が真っ赤になるのと同時に、また飲んだ紅茶が喉を塞いだ。









「もう、本当にごめんね。一之瀬くん」


言いながら、秋は教科書とノートを部屋の真ん中に出された小さめの机に載せた。
オレはあまり入った事のないアキの部屋に緊張して、ドアのあたりで立ったまま硬直。
秋はそんなオレを見上げると、首をひねってどうしたのと聞いてきた。

その問いかけに、あ、うん。としか言葉にできないオレの耳に
自分の心臓の音がうるさいくらいに響いている。


頭の中をめぐるのは、さっきのお父さんの言葉。
そして、先ほどの帰り道での出来事。

ぐるぐると勝手に思い出される言葉や出来事が、オレの心臓を更に締め上げている。





「一之瀬くん?早く勉強を終わらせちゃおうよ」

言いながら秋は、自分の座っている机の横をぽんぽんと軽く叩いた。
どうやら、ここに座りなさいという事のようだった。
オレが何とか移動して秋が示すそこに座ると、秋はよし!と笑った。

やっと始まった勉強会。
だがノートすら忘れたオレに、秋は若干呆れていたが
彼女は、ペンをノートに走らせ始めると勉強に集中し始めたようだった。



真剣にノートを見つめる目。
シャープペンを流麗に操る、細い指先。
ときどき揺れる前髪から、甘い香りがふわりと舞う。

オレは、ノートを写す振りをしながらずっと秋を見ていた。
いや、見ているんじゃない。
見てしまう、勝手に、目が。

いつもよりもはるかに近い距離。
腕が、秋に触れてしまいそうだ。
近いせいか、秋の髪の香りを強く感じて余計オレは頭がくらくらする。


(やばい…全然集中できない…)

未だ真っ白な自分のノートに焦るけど
自分ではあらがえない、秋という存在に、体中の五感全てがふわふわと浮いてしまっていた。




「一之瀬くん、ちゃんとノート写してる?」

いきなり秋の声が耳を打ち、意識が覚醒する。
あ、と彼女を見ようとした時
オレの目の前に秋の瞳。


「あ」
「…っ!」


呼吸まで感じる、距離。
もう少しで唇が、触れそうな。



目の前の瞳が、ゆるゆると水の膜をたたえている。

完全にとらわれたと思った。
オレの何もかもが、やっぱり秋にとらわれている。
秋の少しだけ緑がかった前髪の奥の、茶色の目が
オレを映しているのが見えた。


(やばい)


そう思うよりも先に、オレの手は秋の頬に伸びて。
それなのに、手の中に感じる秋の体温が、理性を奪ってしまう気がして
必死にあらがおうとしている自分もいて。
きっとオレの顔はおかしな具合に歪んでいるんだろう。
かっこ悪くてどうしようもないのに、その自分の手を動かす事ができなかった。


オレが見ている秋は、少し驚いて目を見はったが
すぐに頬をうっすらと染めて、笑った気がした。
その笑顔に、体中の血液が逆流する。
熱い、顔が。


「…アキ」


何を言えばいいんだろう。
こんなときに、一体なんて言えばいいんだろう。
届けたい言葉はいつも心からあふれて、オレの体中に満ち満ちて。
それなのに、何も言葉になってくれない。

今、ただ、伝えたいだけなのに。



「一之瀬、く…」


秋の唇がゆっくり動くのが見えた。
ああ、駄目だ。
駄目だ。

なけなしの理性を動員して、オレはそれでも抑えられなかった。

気付いたら、秋を抱きしめていた。
ああ、キスしたかったなんて言ったら、きっと怒るんだろうな。
そんな事をどこか他人事のように思いながら
オレは甘い秋の香りを胸一杯に吸い込んだ。


「あ、あの…」

秋がオレの腕の中で少しだけ、遠慮気味に動く。
それを感じて胸が痛んだ。
逃げたがっているのを感じるだけで傷つくなんて、オレはこんなに弱かったっけ?
それでもオレは一瞬腕に力を入れて、すぐに秋を解放した。


「ごめん、ごめん!アキがあんまりかわいくってさー!なんか子犬みたいだったから!」
「…っ」


彼女の細い体を離して、オレは視線を外してわざとおどけて言ってみせる。
息を飲んだような、秋の気配を全身で感じて
後悔という感情が否応なくオレを包んだ。


駄目だ
秋は、円堂が好きなんだ。
それをオレに無視することなんてできない。
秋の気持ちを、無視なんて、…できない。


横を向いたまま、おれは黙って下唇を強く噛んだ。


「こんなの、ひどいよ…」
「…!」

秋のトーンの落ちた声に、胸が切り裂かれるような痛みが走る。
秋をあわてて振り返ると

オレは、頬に温かいものを感じた。

その正体を知って、オレは茫然と熱を感じたところに思わず手を当てた。
うそ、嘘だ
本当に?これは、現実?



慌てて秋を見ると、さっきよりも真っ赤になって
さっきよりももっとうるんだ目がすぐそこにある。
すぐそばで見る、そんな顔に
オレがあらがえると、…思ってる?


「アキ」

オレは全ての想いを込めて
その優しい唇に、そっとキスをした。






ねえ、秋。
あの時の願いは、届いてたの?
期待してる、もうそれ以上…かも。





















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