ジャンルごちゃ混ぜSSブログ*
テニプリ(リョ桜)*
イナズマイレブン(一秋中心、NLのみ)
イナイレでは一秋中心にいろいろ
感想とか好き勝手
今はとにかく一之瀬が好き
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派手に転んでしまった。
足がもつれて、顔からスライディングした。
一瞬あたりは静寂に包まれて、すぐに大きなどよめきが起こる。
はっとして、顔を上げる。
その視線の先、真っ白な視界の中、転々と転がっていく黄色いボール。
あ、と思った。
と、同時に私の周りの音が消える。
「ゲームセット!6-2 ウォンバイ…!」
審判が高らかに告げた選手の名前に、私の体温が下がった気がした。
*********
「桜乃お~!」
「すごいよー、頑張ったよ、本当に…っ」
口々にそう言いながら私に抱きついてくるチームメイトたち。
誰も、私が負けたからって非難をすることは無い。
三年間、一緒に頑張ってきたよね。
泣きじゃくるみんなの輪の中で、私はもみくちゃにされながら
えへ、負けちゃったと口にしてみた。
心の奥底に、何かがじわりと広がる。
なんだろ、この感覚。
今年で最後のテニス部の三年生達は、閉会式が終わってもいつまでもそこを去りがたく
輪になって肩をだいて泣いていた。
「また明日ね」
いつもどおりの言葉で私達はテニス会場の入り口を左右に分かれた。
私の隣で、朋ちゃんが皆に大きく手を振っている。
二年生から途中入部した朋ちゃんは、運動神経のよさも手伝ってレギュラーになっていた。
でも、今日でそれも終わり。
明日から、私達の「テニス部」での活動は無くなる。
そう思ったら、ぼんやりと見ていた足元のアスファルトと、目の前の視界がすこし霞んだように思えた。
つん、と鼻の奥が痛くなる。
「桜乃?」
優しい、優しい、朋ちゃんの声。
でも、私は振り向けない。
「と、もちゃん。私、…コートに、忘れ物しちゃった.・・・だから、先に…」
「桜乃…」
振り向きもしないで、私は朋ちゃんにそう言った。
少しためらったように私の名前を、朋ちゃんは呼んだけど。
うん、また明日ね。夜、電話する。
そう言って私を一人にしてくれた。
私は会場の入り口を、全力で駆け戻った。
少しだけうっそうと茂った木々が、暑い夏の光を遮ってくれている。
思い切り走って、先程のコートへと足を向けた。
誰もいないコートは、蝉の声を響かせて眩しく光って見える。
フェンスを越えて、あのコートは、中学の最後のテニスは、もう私の届かない物になった。
私が、負けたから。
そう思ったから、みんなの前で泣くことはできなかった。
とてもとても泣きたかった、でも
出来なかった。
すりむいた鼻も、傷だらけの頬も、まだ血が滲んでいる膝もちくちくと痛んだけど
それ以上に負けた事の悔しさと、自分が負けた事でみんなともうテニスをする機会を
奪ってしまったこと
そんなものがごちゃ混ぜになって、私は涙が止まらなくなった。
気がついたら私はフェンスにしがみ付いて、夢中で泣いていた。
************
「派手にやったじゃん」
いつの間に、こんなところに彼はいたんだろう?
私はどれくらいここで泣いていたんだろう?
そんな事がふと頭の隅を掠めたけれど
すぐ後ろから声がして、私は、はっと息を呑んだ。。
同時に息を呑んで、でも止まらない嗚咽に、ぐっと息が詰まったようになる。
あわてて手にしていたタオルで顔を覆う。
今、こんな顔、見られたくなかったから。
リョーマ君にだけは…。
「体力、もっとつけないとダメだね。…最後のあれ、足がもつれたんだろ」
「でも、…アンタにしてはよく頑張ったんじゃないの」
その言葉に、リョーマ君は私の試合を見ていたんだと気付いた。
同時に、あの場面を、思い切り転んでしまったところを見られたかと思うと
逃げ出したいほどの恥ずかしさに、また涙が滲んできた。
肩が震える。
「竜崎」
いつもより、優しく心に響く声。
フェンスに向かったままの私の耳元にさらに、声がかかった。
「こっち向いたら?」
「…っだって…」
気を抜くと嗚咽に支配されそうになるのを、なんとか深呼吸で押し止めようとする。
でも、出来なかった。
強い力に、一瞬足元をすくわれたかのような感覚をおぼえて
驚きで、思わず声が出てしまった。
気付くと、私はリョーマ君にくるりと向きを変えさせられていたのだ。
「すっげえ顔。」
言いながら、至近距離にある彼の顔が綺麗に笑う。
私は驚きと、激しく波打つ心臓に翻弄されながら、熱くなってしまった頬が
赤くなるのが分かって、どぎまぎと視線を泳がせる。
「女のくせに、顔中傷だらけジャン」
そういいながら、すりむいた鼻に、ちょん、とリョーマ君の指先が当たった。
頑張ったね、あんたにしては。
またそう言ったリョーマ君の声に、私はこらえていたものが目からぽろぽろと零れ落ちるのを自覚した。
「…っ、う、う、」
声にならない。
きっと酷い顔で泣いている私の目の前のリョーマ君は、やっぱり綺麗に笑っている。
こんな時だけ、ずるいよ。優しい事、言うなんて。
心の中でリョーマ君に強がってみても、声にならずにやっぱり私は泣いてばかりで。
そうしているうちに。
リョーマ君は私の傷だらけの鼻の先に、キスをした。
「全国大会なら、俺の試合見にこれば?その代わり、優勝したら、今度はこっちでしてもらうから」
ニヤリと笑うと、リョーマ君はぽかんと開いていた私の唇に指をそっと押し当てる。
「リョ、リョーマ君!?」
体中が熱くなって、恥ずかしさに一気に涙なんて止まってしまった。
怒っていいのか、泣いていいのか分からないくらい、私はパニック。
リョーマ君はおかしそうに笑いながら、私に手を差し出してくれた。
「ねえ、竜崎。テニス、好き?」
唐突な質問。
手を繋ぎながら、私はまだ涙の乾かない傷だらけの顔で、精一杯笑った。
足がもつれて、顔からスライディングした。
一瞬あたりは静寂に包まれて、すぐに大きなどよめきが起こる。
はっとして、顔を上げる。
その視線の先、真っ白な視界の中、転々と転がっていく黄色いボール。
あ、と思った。
と、同時に私の周りの音が消える。
「ゲームセット!6-2 ウォンバイ…!」
審判が高らかに告げた選手の名前に、私の体温が下がった気がした。
*********
「桜乃お~!」
「すごいよー、頑張ったよ、本当に…っ」
口々にそう言いながら私に抱きついてくるチームメイトたち。
誰も、私が負けたからって非難をすることは無い。
三年間、一緒に頑張ってきたよね。
泣きじゃくるみんなの輪の中で、私はもみくちゃにされながら
えへ、負けちゃったと口にしてみた。
心の奥底に、何かがじわりと広がる。
なんだろ、この感覚。
今年で最後のテニス部の三年生達は、閉会式が終わってもいつまでもそこを去りがたく
輪になって肩をだいて泣いていた。
「また明日ね」
いつもどおりの言葉で私達はテニス会場の入り口を左右に分かれた。
私の隣で、朋ちゃんが皆に大きく手を振っている。
二年生から途中入部した朋ちゃんは、運動神経のよさも手伝ってレギュラーになっていた。
でも、今日でそれも終わり。
明日から、私達の「テニス部」での活動は無くなる。
そう思ったら、ぼんやりと見ていた足元のアスファルトと、目の前の視界がすこし霞んだように思えた。
つん、と鼻の奥が痛くなる。
「桜乃?」
優しい、優しい、朋ちゃんの声。
でも、私は振り向けない。
「と、もちゃん。私、…コートに、忘れ物しちゃった.・・・だから、先に…」
「桜乃…」
振り向きもしないで、私は朋ちゃんにそう言った。
少しためらったように私の名前を、朋ちゃんは呼んだけど。
うん、また明日ね。夜、電話する。
そう言って私を一人にしてくれた。
私は会場の入り口を、全力で駆け戻った。
少しだけうっそうと茂った木々が、暑い夏の光を遮ってくれている。
思い切り走って、先程のコートへと足を向けた。
誰もいないコートは、蝉の声を響かせて眩しく光って見える。
フェンスを越えて、あのコートは、中学の最後のテニスは、もう私の届かない物になった。
私が、負けたから。
そう思ったから、みんなの前で泣くことはできなかった。
とてもとても泣きたかった、でも
出来なかった。
すりむいた鼻も、傷だらけの頬も、まだ血が滲んでいる膝もちくちくと痛んだけど
それ以上に負けた事の悔しさと、自分が負けた事でみんなともうテニスをする機会を
奪ってしまったこと
そんなものがごちゃ混ぜになって、私は涙が止まらなくなった。
気がついたら私はフェンスにしがみ付いて、夢中で泣いていた。
************
「派手にやったじゃん」
いつの間に、こんなところに彼はいたんだろう?
私はどれくらいここで泣いていたんだろう?
そんな事がふと頭の隅を掠めたけれど
すぐ後ろから声がして、私は、はっと息を呑んだ。。
同時に息を呑んで、でも止まらない嗚咽に、ぐっと息が詰まったようになる。
あわてて手にしていたタオルで顔を覆う。
今、こんな顔、見られたくなかったから。
リョーマ君にだけは…。
「体力、もっとつけないとダメだね。…最後のあれ、足がもつれたんだろ」
「でも、…アンタにしてはよく頑張ったんじゃないの」
その言葉に、リョーマ君は私の試合を見ていたんだと気付いた。
同時に、あの場面を、思い切り転んでしまったところを見られたかと思うと
逃げ出したいほどの恥ずかしさに、また涙が滲んできた。
肩が震える。
「竜崎」
いつもより、優しく心に響く声。
フェンスに向かったままの私の耳元にさらに、声がかかった。
「こっち向いたら?」
「…っだって…」
気を抜くと嗚咽に支配されそうになるのを、なんとか深呼吸で押し止めようとする。
でも、出来なかった。
強い力に、一瞬足元をすくわれたかのような感覚をおぼえて
驚きで、思わず声が出てしまった。
気付くと、私はリョーマ君にくるりと向きを変えさせられていたのだ。
「すっげえ顔。」
言いながら、至近距離にある彼の顔が綺麗に笑う。
私は驚きと、激しく波打つ心臓に翻弄されながら、熱くなってしまった頬が
赤くなるのが分かって、どぎまぎと視線を泳がせる。
「女のくせに、顔中傷だらけジャン」
そういいながら、すりむいた鼻に、ちょん、とリョーマ君の指先が当たった。
頑張ったね、あんたにしては。
またそう言ったリョーマ君の声に、私はこらえていたものが目からぽろぽろと零れ落ちるのを自覚した。
「…っ、う、う、」
声にならない。
きっと酷い顔で泣いている私の目の前のリョーマ君は、やっぱり綺麗に笑っている。
こんな時だけ、ずるいよ。優しい事、言うなんて。
心の中でリョーマ君に強がってみても、声にならずにやっぱり私は泣いてばかりで。
そうしているうちに。
リョーマ君は私の傷だらけの鼻の先に、キスをした。
「全国大会なら、俺の試合見にこれば?その代わり、優勝したら、今度はこっちでしてもらうから」
ニヤリと笑うと、リョーマ君はぽかんと開いていた私の唇に指をそっと押し当てる。
「リョ、リョーマ君!?」
体中が熱くなって、恥ずかしさに一気に涙なんて止まってしまった。
怒っていいのか、泣いていいのか分からないくらい、私はパニック。
リョーマ君はおかしそうに笑いながら、私に手を差し出してくれた。
「ねえ、竜崎。テニス、好き?」
唐突な質問。
手を繋ぎながら、私はまだ涙の乾かない傷だらけの顔で、精一杯笑った。
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