たいせつ（一秋？）

放送が始まっちゃう前にｗ

*3のネタばれ入っています。
嫌な方はごめんなさい

「何回見てんだよ」


土門はあきれた声を出す。
それでも、そんな親友の言葉には一切構わず
一之瀬は、飽きずに携帯画面を眺め続けている。
その目はいたって真剣で、土門は病院のベットに横たわる
彼に、いいかげん寝ろ、とあきれながら声をかけた。


「…だって、土門。もったいないんだよ」
「何が」
「寝ちゃうと、これを見る時間が減っちゃうだろ？」
「…あのなあ」


そう言いながらも、全く携帯の画面から目を離さない彼に
土門はいよいよ大きなため息をついた。


「アキが、メールくれたんだぞ」
「ああ」
「明日、来てくれるんだぞ」
「ああ」
「手術の前に、来てくれるんだぞ」
「…何回も聞いたっつーの」


携帯の画面をまるで焼きつけようとばかりに
見つめ続ける一之瀬の言葉に
あきれたように頭をかきながらも、土門は安心した笑顔を浮かべた。


「…よかったな、一之瀬」
「うん」
「秋は優しいからな」
「うん、凄く優しいんだ」
「知ってるさ、幼馴染だろ」
「ああ、…とても大切な、人だよ」


一之瀬の顔に笑顔が浮かんだ。


「土門」
「あ？」
「…オレ、アキの事あきらめないよ」
「…わーってるよ。」
「うん。頑張るんだ、オレ」
「…おう、頑張れ。」


その前に、体を完璧にしねえとな。
そう言いながら土門はニヤリと笑って席をたった。
そして、手術の前に来てくれるという
心やさしい幼馴染に、心の中で感謝の言葉をかけていた。