ジャンルごちゃ混ぜSSブログ*
テニプリ(リョ桜)*
イナズマイレブン(一秋中心、NLのみ)
イナイレでは一秋中心にいろいろ
感想とか好き勝手
今はとにかく一之瀬が好き
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「たいせつ」
「ゆびきり」と微妙に繋がっています。
放送前にやっちゃわないと!第三段。
ネタばれ、願望、相変わらず入り乱れています。
「ゆびきり」と微妙に繋がっています。
放送前にやっちゃわないと!第三段。
ネタばれ、願望、相変わらず入り乱れています。
ゆっくりと意識が浮上する。
真っ白な世界から、まばゆい世界へ
そこで、オレは約束を果たすんだ。
「あー、おなかすいたあ」
「あーもう、あと少しだから待てっての!」
点滴の管を振り回さんばかりに、ベッドの上の一之瀬は
手をぐるぐるとふりまわす。
それを土門が、もう慣れたというように呆れた顔でふりかえり
ベッドにまだ横になってないと!
と抵抗する彼の体をシーツに押し戻した。
手術が無事に終わり、はや5日。
流動食から、ゆっくりと戻された食事は
今日の昼には解禁となり、普通食になった。
だかしばらくまともな食事をしなかった若い胃袋は
食事をしたばかりだというのに、すぐに空腹の合図を送りだしたのだ。
医師も驚く回復力で、まだ手術の傷あとは
ふさがりきっていないというのにあっというまに歩き回るほどになった。
先ほどから、一之瀬は自分の腹具合と時計の針を見比べながら
おそいなー、まだかなー、まだかなーとベッドの端に腰かけ
足をぶらぶらとさせながら、待ちわびている。
「ったく、お前はどっちを待ってんだ?秋か?さしいれか?」
「なにいってんだよ。アキにきまってんだろ?」
そういいながら、一之瀬はぐうぐうとなり続ける腹を抱えて
時計を見て嬉しそうに笑った。
「ごめんね、遅くなっちゃって」
「アキ!」
息せき切って駆け込んできた秋に、一之瀬はまさに
飛びあがらんばかりに
喜びを表現する。
その様子に、土門は大きな茶色のしっぽが一之瀬の背後に見えた気がして
頭を抱えた。
(わかりやすすぎるんだよ・・・)
飛び上がった瞬間に、いたた!と彼が声をあげたものだから
秋は顔色を変えて一之瀬に駆け寄る。
「大丈夫!?まだ無茶しちゃだめじゃない!」
「いてて、あはは、ごめん、ごめん…あ、いて!」
「もう、ほら…横になって?あ、ベッド持ち上げようか?」
秋の手が優しく一之瀬の背に回され、ゆっくりと彼をベッドに横たえた。
先ほどの土門とのやりとりと違って至極素直に、
嬉しそうに秋の言うことを聞く一之瀬に
もう一人の大きな幼馴染は呆れてため息を盛大に吐き出した。
秋にベッドに寝かせてもらった一之瀬は、今度は彼女の手にある
かわいらしい包みを期待のまなざしで見ていた。
少し苦笑いをした後、秋はベッド備え付けの小さな脇机を引きだすと
その上に、小ぶりの重箱をコトリと置いた。
「日本街の旅館のお台所借りて作ってみたの…手術成功祝い?かな?」
「アキ…本当に作ってきてくれたんだね!」
「約束したもの」
ふふ、と笑う秋に一之瀬は頬を染めて大きく笑った。
「…っおいしい」
「本当?」
一口、秋の作った煮物を頬張った途端、一之瀬は声を発した。
茫然とした面持ちで一之瀬は手の中の秋の弁当に視線を落とす。
色とりどりの野菜、肉も、魚も、煮物も、炒め物も…
彼の好きそうなものがたくさん詰め込まれている。
それを茫然と見つめていた彼の目から、ぽろりと一つ涙が落ちた。
「…!い、一之瀬くん?」
秋は何かまずかったのだろうかと焦り、
あわてて水の入ったコップを一之瀬に差し出した。
「ご、ごめんね!辛かった?」
「…ない」
「え?」
驚く秋の後ろで土門も驚きの表情で立っていたが
一之瀬の様子に切なそうに笑うと、そっと部屋を後にした。
「…おれ、」
「?」
静かな二人だけの空間で、一之瀬の視線はまだ秋の弁当に注がれたまま。
彼はそれを大事そうに抱えると、秋に泣きながら笑顔を向けた。
「この味、一生、忘れない!」
その言葉に、秋の瞳に水の膜が一気に盛り上がった。
必死にそれをこらえると、秋は笑顔で一之瀬の手を握る。
つよく、優しく。
「いくらでも、何度でも作ってあげる!…っだから、だから…」
「ありがとう…アキ。本当に…おいしい」
ぽろぽろと涙を流しながら、一之瀬は大きなおにぎりをほおばった。
それを見ている秋の頬にも、いつのまにか大粒の涙が零れ落ちる。
お互いに顔を合わせると、二人は一番の笑顔で笑い合った。
「…ただいま、アキ!」
「おかえりなさい、一之瀬くん!」
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