ジャンルごちゃ混ぜSSブログ*
テニプリ(リョ桜)*
イナズマイレブン(一秋中心、NLのみ)
イナイレでは一秋中心にいろいろ
感想とか好き勝手
今はとにかく一之瀬が好き
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「たいせつ」と微妙に繋がっています。
ネタばれと希望がごちゃまぜ。
放送前にやらなきゃ~
ネタばれと希望がごちゃまぜ。
放送前にやらなきゃ~
おそるおそる、といった感じに
その白い扉に手をかけると
思いもよらず軽い力で、するりとそのドアは横にすべる。
同時にドキリと心臓が揺れた。
静かな病室。
どう声をかけていいか逡巡していると
その部屋の主の声が飛んできた。
「アキ!?」
はっとして顔をあげると、白いベットに
上半身を起こして、こちらを見ている彼の姿が目に入った。
「…っ一之瀬くん」
ベットに居る彼の姿に秋は、胸がつぶれそうになる。
嬉しそうに自分を見やる彼の腕に点滴の管。
傍らにいる看護師が、彼の腕に刺していた針を抜いて
何かの注射を終えたところだった。
看護師は、秋をちらりと見て笑顔でその傍らをすり抜けていく。
あわてて秋は会釈を返し
意を決して、一之瀬のそばに近づいていった。
「来てくれたんだね、アキ」
「うん…遅くなっちゃってごめんね」
「え?手術は午後だから、全然…」
「あ、と、そうじゃなくてね」
「…来てくれて嬉しいよ」
「うん…」
言葉が途切れ、一之瀬の目が秋の目を捉える。
瞬間ドキリとして秋が戸惑うと
一之瀬の手が、秋の頬にゆっくりと伸びてきた。
「…本当は、怖かったんだ」
「え」
「手術」
「…」
「でも、今は怖くない。アキが、いてくれるから」
一之瀬の手はあくまでも空気のように軽く、秋の頬をかすめていく。
その距離に、切なくなって秋は優しい人の手をそっと捉えた。
一之瀬は、ビクリと体を震わせる。
「あ、アキ?」
戸惑いが声に乗る。
秋はつかんだ彼の意外に大きな手に、そっと自分の頬を寄せて
一之瀬の手の暖かさを感じようと目を閉じた。
「あ、あの、アキ」
鼓動が、手のひらから伝わってしまいそうな気がして
一之瀬はさらに頬をあからめた。
いつも触れたいと夢に見ていた彼女の頬が、
今自分の手の中にあるのにどうすることもできない。
抱きしめてしまいたい衝動に駆られるのを、
一之瀬は唇をかみしめて耐えた。
「一之瀬くん、約束して」
自分の手を頬にあてたまま、うつむいた秋の声が僅かに震えている。
自分の手を握るか細い手の力が僅かに増して、一之瀬は目を見開いた。
「お願い」
「…アキ?」
秋は、一之瀬の手を頬にあてたまま両手で握り締めるように手を添える。
「もう、…絶対に、どこにも行かないで」
「えっ…」
「お願い、黙っていなくならないで」
お願い!と顔を上げた秋の頬に涙が伝う。
秋の手に添えられている彼の手に、涙が。
「アキ」
一之瀬の手が秋の頬の涙を、すくう。
それでも間に合わないほどに、その涙は次から次にあふれてくる。
「…っ、一之瀬くん」
「泣き虫だなあ、アキ。相変わらずなんだね」
「そ、そんなこと…っ」
たまらずに一之瀬は、秋を引き寄せた。
もう何も考えられない。
自分のために、泣いてくれるこの少女がただ愛しい。
抱きすくめられた秋は、おとなしく一之瀬の腕の中に納まる。
「オレは、アキと約束したから。絶対に戻ってくる」
「…っ…」
「アキと約束すると、オレ、なんでも出来る気がするんだ」
一之瀬は胸の中の秋を更に強く抱きすくめた。
「約束する、きっと、アキのところに帰ってくる。アキに一番にただいま、って言うから」
秋の声はかすかな泣き声になった。
約束だよ、と小さくつぶやく声に、
一之瀬の胸が嬉しさに悲鳴を上げた。
時計の針は、静かに時を刻んでいく。
手術の刻限は近づいていた。
HEAVEN'S TITLES http://lazbiz.style.coocan.jp/hs/hs_title.html
ひらがなで恋を想う10のお題より
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